9月12日松下幸之助一日一話(松下幸之助.COM) 予算にとらわれない 一国の運営をお金の面からみますと、いわゆる予算というものを組んで、それに基づいてさまざまな施策を行なっています。お互いの商売でも、同じように予算というものによって、これを進めていく場合が少なくないと思います。 しかし、商売というものは、実際予算どおりに動くものではない。したがって、予算がない、ということで必要なことの実施を延ばしたりするのではお客様はどんどん他へ流れていってしまうと思います。 予算によって商売をしていくことはもちろん大切ですが、それはあくまで内輪の心づもりであって、外部に対して必要なことは借金してでもやる、そういう商売をしなくてはならないと思うのです。 筆洗 2013年9月11日筆洗(東京新聞TOKYOWeb) ▼<「放射能」と書いて「無常の風」とルビを振りたい>。作家の井伏鱒二さんは、陸軍の報道班員として共にマレー方面に派遣された松本直治さんが書いた手記『原発死』の序文にそう書いた ▼松本さんは戦時中、本紙の記者として戦地に赴き、戦後は北日本新聞の編集局長やコラムニストを務めたジャーナリスト。黎明(れいめい)期の原発で働いた一人息子の勝信さんを一九七四年に舌がんで亡くした。三十一歳の若さだった ▼電力マンとして東海、敦賀原発で四年間働いた息子の死因を放射線の被ばくと疑い、がん死した原発作業員を訪ね歩いた。膨大な資料を読み込み、「原子力公害」によって息子は命を奪われたと確信する ▼「丹念に事実を掘り起こすことで、解明のいしずえの一つになろうと心に決めた」。電力会社の幹部と対峙(たいじ)し、がんと被ばくとの関係を問い詰める執念は心を揺さぶる ▼将来の原発事故を憂えた松本さんが亡くなって十八年。吹き荒れた「無常の風」に住む場所を奪われた福島の住民の告訴・告発に対し、東京地検は「大津波は予測不可能だった」として、当時の東京電力幹部や政府関係者四十二人全員を不起訴にした ▼国会事故調査委員会が「人災」と断じた大事故なのに強制捜査をすることもなく、結論ありきの印象はぬぐえない。検察が尽くしたのは、刑事責任を免責するための捜査ではないのか。 2013年9月12日天声人語(OCN*朝日新聞デジタル) 天声人語 ▼はやり歌のベストテンとか、お金持ちの百傑とか、ものごとに順位や序列をつけて眺めるのが人間は好きだ。相撲の番付もしかり。これを他の分野に応用した「見立(みたて)番付」なるものが、江戸時代に盛んにつくられた ▼名所旧跡や神社仏閣から名産品まで、色々な種類があった。商家の丁稚(でっち)番付もある。大関は主人からのれん分けしてもらう小僧、関脇は返事の早い小僧、小結は早起きな小僧といった具合である ▼逆に悪い丁稚の番付もあり、尻の重い小僧、寝小便や居眠りをする小僧らが高位にいる。一方は、かくあるべしと使用人に説き、他方は、こうなってはならぬと戒める意味合いだろう。静岡県の川勝平太(かわかつへいた)知事がこのたび選んだのは後者だった ▼全国学力調査の小学6年の国語Aで、静岡県は最下位になった。知事は記者会見で「先生の授業が最低だということ」だといい、512校のうち、成績が下から100校の校長の名前を公表すると宣言した。「責任の所在を明確にしたい」と ▼悔しさや怒りが抑えがたかったのだろうか。それでも行き過ぎというほかない。そもそも市町村ごとや学校ごとの順位は表に出さないことになっている。ランキング競争には一面の効能もあろうが、こと公教育の場では副作用が強い ▼まして下位校に限って世間にさらすというのでは、下村文科相が「教育というのはいいところをもっと褒めること」と指摘したのも当然だろう。戒めを通り越して懲らしめのための公表になってしまわないか。 PR |
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