10月11日松下幸之助一日一話(松下幸之助.COM) 物心にバランスある姿 今日のわが国では、科学の進歩、経済的な発展にくらべて、国民の道義道徳心なり良識というものに、非常に脆弱な面があるのではないか、という声がある。たしかに今日では、何が正しいか、いかにあるべきかという点があいまいになってきているように思われる。 やはり、人間らしい生活を営むには、単に科学が進歩し、物質的に豊かになるばかりでなく、人としての良識というか、精神面の豊かさというものが並行して養われる必要があると思う。つまり、身も豊か、心も豊かというバランスのとれた豊かさのもとに、はじめて平和で、人間らしい幸せな生活をおくることができるのではないだろうか。 筆洗 2013年10月10日筆洗(東京新聞TOKYOWeb) ▼ある若い女性の古い写真を見ている。一九六二年に撮影されたという。ちょっと女優のバーブラ・ストライサンドさんに似ている。ニューヨーク下町育ちの少女は何かを決意するかのように一点をにらみ、口は固く結ばれている ▼写真の女性にこっそり耳打ちして笑わせたい。「君は、二〇一三年、六十七歳の時に米連邦準備制度理事会(FRB)の議長に指名されるんだよ」 ▼ジャネット・イエレンさん。上院が承認すれば、約百年のFRBの歴史上初めて女性議長に就任する。女性の社会進出を阻む壁のことを「グラスシーリング(ガラスの天井)」という。天井に新しいひびが入ることになる ▼髪は真っ白になり、シワも増えたとはいえ、あの時の自信と決意の顔は変わっていない。休暇にもスーツケースいっぱいの経済専門書を持っていくという ▼夫で〇一年のノーベル経済学賞受賞者のジョージ・アカロフさんはこんなことを書いている。「自分と性格もぴったりだし、マクロ経済の意見は同じだ。彼女の方が自由貿易を支持しすぎるが」。夫婦でよく議論するのか、ほほ笑ましい光景が浮かぶ ▼もう一枚、若い女性の写真を見ている。笑っている。東京都三鷹市で命を奪われた。彼女は髪を白くすることもシワを刻むこともできない。女優になる夢もかなえられない。写真の彼女に語りかける言葉が出てこない。 PR |
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